洗うしかない。
でも絶対、咬む!
プロに任せたいけど、咬む犬を依頼するのは気が引ける。
自分達でやろうにも、猿ぐつわでも噛ませないと難しそうだな。
とその時、家中を掃除していた夫が、「こんなんあったよ~」と、新品未開封の犬用口輪を持って来ました。しかも犬用シャンプーのオマケ付きです!
あるじゃん‼
叔母も自分でやろうとしたのね。
でも無理と判断して、口輪を開封しないまま、タンスの肥やしにしていたのかも。
そりゃそうよね、75の高齢で咬む中型犬を一人で洗うなんて無理よ!
手強そうだけど、こちらは夫と私の二人がかり。実家で飼っていた大型犬は何度も一人で洗ったことがある。
よし、やるべ!
夫が口輪を後ろに隠しながら、そーっと近づき、撫でるフリをしてスルッと口輪を装着。
油断していた犬は、無抵抗のまま呆然。
しばらく固まってしまいました。
あれ?どうしたのかな?
あまりのフリーズぶりに不振がっていると、そのうちブルブル震え始めました。
もしや、イヤな過去の体験を思い出したのか?
近づくと猛烈に暴れ始めました。
しかし、口輪さえしてしまえばこっちのもの。中型犬なら大人二人がかりで難なく押さえられる!
急いで詮をした洗面所のシンクに、犬を投入。とにかく興奮状態だったので、まずは優しい声で撫でつつ、時間をかけてなだめに掛かりました。
そのうち、無抵抗にはなったものの、震えは治まらないまま、いよいよゆっくりシャワーをかけ始めました。
顔回りではなく、お尻から徐々に全身を濡らし、グルーミングするかの如く優しくシャンプー。
震えはなおも止まらない。
可哀想に…。
夫も私もビショビショになりながら一生懸命励ましました。
目ヤニだらけの顔や、毛が束になっている口元に至っては、最大級の配慮を込めて清めてあげました。
ようやくシャンプーを流し終え、リンスもサッと済ませてバスタオルでくるんであげた時、震えが治まっていることに気付きました。
「よく頑張ったねぇ」と二人で盛大に誉めながらドライヤー。犬も我々もホッとしながらフィニッシュ。
二人と一匹で何か大きな仕事を成し遂げたような達成感を味わいました。
いい匂いになったので、しばらく抱きしめてスリスリしていると、犬もこれでもかと甘えてきました。
凄く嫌なことをされたので、絶対嫌われると思っていたのに、それからは何か絆のようなものが出来たのか、こんなに忠犬だったかな?というくらい接しやすくなりました。
トリマーになろうかしら?
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チョー単純
貴重な体験ができ、良い想い出になりました。