潔癖症? その1
母が小学生の頃、理科の授業で、雑菌がウヨウヨ動く様を顕微鏡で見たらしい。菌との初対面に衝撃を受けたというそのエピソードを、小さい頃に何度も聞かされた。
雑菌を敵とみなした母は、子どもが出来てから、更に雑菌と闘う日々を送り、初老に入った頃には、白い手袋をして外出するようになった。
電車の吊り革や、ドアノブ、自転車のハンドル等、あらゆるものに触れる手。帰宅すると「見て!」と茶色くくすんだ手袋をよく見せられた。
実家では、外から帰ってきたら履くスリッパと、お風呂を出てから履くスリッパを分けられていた。
1日履いた靴下は、この世で一番汚いとばかりに忌み嫌っており、その汚い靴下のままで布団に入ろうものなら、どれだけ厳しく叱られたことか。
白い壁に至っては、汚い手で触ると「何年かするうちに、茶色く手形となってシミが浮き上がって来る」と釘を指される。
もう、鬱陶しい❗
小さい頃は、この口うるさい潔癖症の母に注意されるのが嫌で、綺麗にしたいというよりも、怒られたくないという気持ちで従っていた。
ところが、成人して働きはじめて間もない頃、手の皮があまりに剥けるので、皮膚科に行くと、手を洗いすぎて乾燥していると指摘されてしまいました。
1日何回手を洗っているんだろう。
改めて考えると、母と同じように、不特定多数の人が触れたもの(例えばお金)に触った後は、必ず手を洗っている。
汚いと感じたら、無意識に手を洗う場所を探す習慣がついている。
母にしつけられてきたあれこれは、とっくに習慣になっており、そうしないと気がすまなくなっている自分に気付いた。
姉にそう話すと、同じ感覚だとのこと。子どもが出来てからは、更に加速して、布団を干しまくっているらしい。
兄も、スリッパは二足使いで、汚い靴下を忌み嫌っているそうだ。
これってどの程度の潔癖症なのかしら。人によってはその程度ではまだ甘いと言うかも知れない。
あるいは、めんどくさそうな人だと思うかも知れない。
母から始まったこの潔癖の連鎖は姪にもしっかり受け継がれている。
このまま更に加速していったら生活がどんどん不便になりそうだなぁ。
そろそろ歯止めをかけないと…。
つづく