あしたも日曜日

~40代セミリタイア夫婦のシンプルライフ~

南房総道の駅巡り~黄色いストレリチア(極楽鳥花)

年が明けて初めての投稿になります。
本年もよろしくお願いいたします。
 
さて、久しぶりに車中泊の旅を楽しんでまいりましたので、順を追ってレポートさせていただきます。
自宅から下道をのんびり節約旅。
最初に多肉狩りに立ち寄ったのは「ジョイフル本田君津店」。
以前、「モンタナ」らしきアガベが激安で売られていたのを思い出し、淡い期待を抱きつつ除いたところ、今回はめぼしいものは見つけられず、セデベリア「ホワイトストーンクロップ」とセダム「ピンクベリー」をゲットして退出してきました。
 

港町グルメ

日が暮れかかってきたので、道の駅「きょなん」隣接のスーパーODOYAで晩ご飯を調達しました。
さすが港町です。
切り身ではなく一匹単位で売られている魚のデカいことデカいこと。
「~鯛」と書かれている数種の魚たちは、日頃通っている近所のスーパーでは見かけないものばかり。
最近、金目鯛が深海魚であることをTVで知ったのですが、その「~鯛」も深海魚だったのか、お口がティッシュでふさがれていました。
きっとベローンと飛び出した舌があまりにグロテスクで、隠さないと売りづらいのかもしれません。
 
と、お刺身コーナーを見るとお値引き後のお手頃『タコとキュウリのキムチ和え』を発見!
ぶつ切りタコのデカさに惹かれ、手が伸びました。
ぷりっぷりなのに柔らかいタコがお口の中いっぱいに踊る贅沢な逸品でした。
また、ベーカリーコーナーで見つけた『おどやバーガー』はパテと一緒に卵サラダがたっぷり入っていて優しいお味でした。
 
この日の車中泊スポットは

道の駅「富楽里とみやま」

南房総に数ある道の駅の中で宿泊先として選んだ理由は、名物『つみれ汁』を朝食に頂くからです。
通常、道の駅は朝9時台か10時にオープンなのですが、こちらのフードコートは7時30分から開いています。
というのも、道の駅の2階が有料道路のパーキングエリアを兼ねているからです。
ここの『菜の花』さんの『つみれ汁のおにぎりセット』を起き抜けに食べるのが、我が家の房総旅の定番になっています。
この日は夜通し暴風に揺れる車中で就寝。
風はきついものの気温が高かったのか、電気毛布は点けずに眠れました。
 

岩井海岸から絶景富士山を拝む

翌朝、つみれ汁を食べて道の駅「とみうら枇杷倶楽部」に行く途中、車窓から遠くに富士山を発見!
岩井海岸に行ってみると、昨晩の暴風が奏功したのか、晴天にくっきり富士山がドドーンと海の向こうに拝めました。
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これよ、これ!
平日の誰もいない海岸をお散歩した後は、車中のベッドに寝そべりながら、ゆっくり絶景を堪能。
これが気ままな車中泊の旅のいいところなのです。
今回これが観られただけで充分満足かも。
 
とはいえ今日はまだ始まったばかり。
次に向かうは

道の駅「とみうら枇杷倶楽部」

こちらは2000年の道の駅グランプリで最優秀賞を受賞した駅になります。
その名の通り、枇杷を加工したスイーツが充実しています。
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我が家的には、これまで多肉狩りがメインのスポットだったのですが、昨年から「仙興園」さんの多肉植物・サボテンの出品がなくなってしまい、非常に残念な思いです。
しかーっし!
道の駅「とみうら枇杷倶楽部」のお楽しみはもう一つあるのです。
それが館山中村屋の名物「クリームパン」。
たーっぷり入ったクリームは、ぼってりした触感で昭和を思わせる懐かしくも優しいお味です。
館山駅の近くのお店でも買えるので、機会があれば是非立ち寄ってみてください!
 

黄色いストレリチア(極楽鳥花)との出会い

道の駅「とみうら枇杷倶楽部」を後にして向かったのは、道の駅「おおつの里 花倶楽部」
実は今回の旅のメインテーマはこちらにあります。
「黄色いストレリチアを見てみたい」
ネットサーフィンをしていた夫がたまたま見つけたサイトに、黄色いストレリチアはまだ希少で広く流通しておらず、新品種を作出した園芸家がこの道の駅にゆかりのある方だということを見て知っていたからです。
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ストレリチアは結構大きな植物なので、「畑」レベルとなると、なかなか稀有な光景です。
道の駅「おおつの里」はこれまで何度も訪れており、ストレリチアを初めて日本に紹介した方がこちらに時々顔を出されていることは知っていたのですが、多肉狩りがメインの我々夫婦は、普通のオレンジ色のストレリチア畑の記憶しか持ち合わせていませんでした。
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今回のメインターゲットは黄色のストレリチア
花倶楽部にある鉢は、大きさがいろいろあり、葉の形も様々。
ストレリチアは全くの門外漢だったので、どれを買っていいか迷っていたところ、道の駅の職員の方が声をかけてくださり、すぐ近くにあるストレリチアの第一人者である鈴木勇太郎先生の「ストレリチア研究所」を訪ねたいならお電話してみましょうかとおっしゃってくださいました。
「植物は生産者に聞くのが一番」がモットーの我々夫婦には願ってもないご提案。
早速鈴木先生のところにお邪魔しました。
 
ご自宅兼研究所である鈴木先生のお宅の前にはストレリチアの温室が1棟。その横に「ストレリチア畑」が広がっていました。
台風15号でガラスの温室が2棟壊れてしまい、むき出しのままになっているストレリチア畑には、まだガラスの破片が残っていました。
我が家の簡易ビニールハウスも台風15号で大破してしまいましたが、いまだブルーシートを屋根にかぶったお宅が多い南房総では、さぞ激しい暴風雨だったのでしょう。まだまだ南房総の完全復興までには時間がかかりそうです。
 
ご自宅の軒下には、以前道の駅「おおつの里」で購入した「サンゴアロエ(ストリアータ)」も並んでいます。
⬇我が家のサンゴ色に紅葉したアロエちゃん
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こちらも鈴木先生南アフリカから持ち帰り、増殖に成功した品種で、道の駅「きょなん」や道の駅「とみうら枇杷倶楽部」の向かいにあるバスターミナルに、地植えされた巨株がアロエ「鬼切丸(マルロシー)」などと共に並んでいます。
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希少品種「ゴールドクレスト

快く迎えてくださった鈴木勇太郎先生は御年87歳。
重い鉢をあちこち移動させたりと、ご高齢とは思えないくらい精力的に栽培しておられます。
今回見せていただいた黄色いストレリチアの中で特出すべきは「ゴールドクレスト
鈴木先生が作出された新品種です。
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まだ一般には広まっていないため、数多くの「ゴールドクレスト」を一度に見られるのは先生の研究所だけになります。
道の駅にあった「ゴールドクレスト」も立派でしたが、こちらは更に選りすぐりの名品が並んでおり、先生いわく「首元の赤がここまで鮮やかな株はここでしか見られない」と豪語しておられました。
 
それもそのはず、作出者である先生ご自身がたくさん蒔いた種から選抜された苗なので、間違いなく日本一素晴らしい「ゴールドクレスト」なのですから。
なんて贅沢な眺めなの。
 
通常、ストレリチアといえば、ご近所の軒下にオレンジ色の花を咲かせた株を一株観るくらいが関の山ですが、道の駅「おおつの里」では「畑」レベルで大量に拝め、鈴木先生の温室では最高峰の黄色いストレリチアを拝めます。
 
今回は「ゴールドクレスト」の交配親である「レギネーのゴールドA」をお譲りいただきました。
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ちなみにもう片方の交配親はマンデラ大統領にちなんだ名前の「マンデラスゴールド」。
ストレリチア初心者の我々には、まず原種から集めるのが順当かもしれないとの先生のアドバイスに従い、初めから高額な最高峰には手を付けず、先の楽しみとすることにしました。
今、先生が最も稀少とおっしゃっておられたのは、葉が退化して鋭くとがった「ジャンセア」という原種の矮小型(ドワーフ)の黄花だそうです。
余程のマニアでないと手を付けないであろう希少苗は目に焼き付けるにとどめ、まずは手頃で良質な原種から徐々に集めていければと思います。
 
先生がおっしゃるには、ストレリチアは霜にさえあてなければ問題なく育つそうなので、今は室内に入れており、天気の穏やかに日に日光に当ててあげています。
室内が温かいからか、早速花芽が膨らんできて、数日中には開花しそうです。
株なら3か月、切り花なら1か月咲き続けるそうです。
なんだかお得な花ですね。
切り花もおまけにたくさん頂いたので、見比べながら観察したいと思います。
さて、どうしてそんなに長く咲くかというと、仏炎苞という房の中に花芽がいくつも隠れており、順番に枯れては咲きを繰り返すからだそうです。ちなみに黄色いところ(通常はオレンジ)がガクで紫のひらひらしたところが花びらになります。
 
今回の訪問では、ご自宅で先生著のストレリチア図鑑や現地を旅した際に入手したアフリカンアートを見せていただくことも出来ました。30代、40代の脂ののった当時の鈴木先生が現地の専門家に連れられ、まだ日本人が踏み入れたことのないような僻地にストレリチアを求め歩いた冒険談を聞けたことも、稀少な体験となりました。
 
海外から植物を日本に初上陸させるという体験は、昭和以前の冒険家にだけ許された贅沢だと思います。
現代はあまりに国際化と技術革新が進み、移動も輸送も容易になったため、未発見の植物を自生地から持ち帰ることは非常にまれになっています。もちろんワシントン条約で指定されているものは国外に持ち出すことが禁じられています。
それだけに鈴木先生のご活躍なさった時代にロマンを感じるのです。
 

唯一無二の存在

AIを始め科学技術の発展に伴い、誰でも代替できる仕事はロボットに置き換わり、人間にしかできないことを求められる時代に入ろうとしています。
誰にも真似のできない唯一無二の存在になるにはどうすれば良いのか。
その答えをこの旅で垣間見たような気がします。
 
己の感性を信じ、周りに流されず行動する。
己の掲げたテーマになりふり構わず没頭し見出された何かは、ほかに誰も見たことのない、感じたことのない、考え付いたことのない何かになっているかもしれない。
そういった体験や知識の積み重ねから生み出されたものの一つに「黄色いストレリチア」があるのかもしれない。
現在87歳の鈴木先生の若かりし頃の時代背景を考えると、南アフリカで日本人の誰も見たことのない花を見つけ、持ち帰り、研究する様を「道楽」と呼ぶ人がいたかもしれない。
でも、そこから交配や実生選抜を繰り返し、ハッと息を飲むような美しい品種を作出して、多くの人を喜ばせる鈴木先生の功績は、唯一無二と言って間違いないでしょう。
これからは鈴木先生のような唯一無二の存在となることの価値が尊ばれる社会に変わっていくかもしれませんね。